AT(アドベンチャーツーリズム)ガイドに必要なこと

こんにちは。英語講師の馬上千恵(もうえちえ)です。札幌市を拠点に英語レッスン、接客英語講座、英語ガイド養成講座、英語講師養成講座を開催しています。以下のページで詳しくご紹介しています。

個人様向け / 法人様向け

今週の火曜日(10月13日)にニセコで行われた『北海道アドベンチャートラベルミーティング2020』(国土交通省北海道運輸局主催、北海道宝島旅行社事務局)にて、講演してまいりました。

来年度、北海道ではアドベンチャーツーリズム(AT)の世界的会議ATWS(アドベンチャートラベルワールドサミット)が予定されています。

アドベンチャートラベルは、AT業界最大の団体であるAdventure Travel Trade Association (ATTA)によると、「自然」「異文化体験」「アクティビティ」のうち、2つ以上の要素を持つ旅行のことで、特に欧米では大きな市場を占めているそうです。

例えば、ハイキングやカヌー、サイクリングなどの自然の中でのアクティビティを楽しみながら、その土地の自然環境や文化・歴史を学び、様々な地域体験を通して地域の人々とも交流する・・例えば「ただ大きなバスで観光地を周る」といったものとは異なるものになります。旅を通して自分自身も変容する、と言ったことも含まれているそうです。

私は講演で、森林インストラクター、自然ガイド、英語通訳案内士として海外のお客様をご案内した経験、ATWS(2016・アラスカ)に参加した際に欧米のエージェントや旅行者、ガイドの方と実際に意見交換した時に得たことなどをもとに、

① ATのお客様が求めているもの

② ATに必要なガイドについて

の2点についてお話しさせていただきました。

特に②に関しては本当に重要だと思っており、熱を込めて語らせていただきました(^^;

今、体験やプログラム、ルートはたくさん作られています。今回のミーティングでも後半にプログラムづくりのワークショップを行われ、本当に面白くて魅力あふれるものがたくさん作られました。

ワークショップを見学している中で、それら体験に欠けているものが大きく2つあるように感じました。

1つ目は「海外の方の視点を取り入れたストーリー」。

もちろん日本人のお客さまでもお客様ごとに興味や関心、うけるポイントは変わります。

ですが、海外のお客様はさらに、異なる環境、文化、価値観の中で生活されています。例えば挨拶の仕方、話の聞き方など日常的なことにも違いがあります。

さらには、「この建物には作家の○○が住んでいました」や「これから、神社ではお祓いをします」と解説されても、その作家を知らなければただの家ですし、「お祓い」をただ「エクソシスト」と説明していしまっては、本来の意味が伝わりません。農業体験でも「これからここで大根を抜きます」と言われても、なぜ大根を抜くのか疑問に思う方もいらっしゃるのかもしれませんし、「この川でラフティングをします」となっても、なぜその川で行うのかがあいまいなら「うちの国のラフティングの方がすごいな~」と思われてしまうかもしれません。

日本人同士なら簡単に通じることも、理解してもらえなかったり、その価値を感じてもらえないこともあるのです。

また、逆に、私たちが普通にしていること、使っているものに海外の人が驚く場合もあります。

例えば「味噌」づくりに時間がかかることに驚いたお客様もいますし、話を聞くときに「正座」している私の様子を見て「なぜそんな座り方をするの?」と聞かれたこともあります。

目の前にある場所や体験が、全く違う風に見えている可能性がある、

ということを意識しながら、お連れした場所や体験が私たちにとって「どうスペシャルなのか」「なぜスペシャルなのか」、そして「海外のお客様はどう感じるのか」を考えながら、ルートと、そのテーマ(ストーリー)を考えていただければな、と思います。

そして、2つ目は「そのルートを伝える人=ガイド」の存在です。

「地元ガイドはいるから大丈夫。でも日本語しか話せないから、あとは、通訳の人がうまく通訳して~」

では、絶対!!!うまくいかないと感じています。

もちろん優秀な通訳さんであれば、ガイドさんの言葉をその場で通訳することはできると思います。

ですが、ガイドさんの言葉をそのまま通訳しても通じないこと、思いを伝えられないこともたくさんあるのです。

特に、ATのように、異文化体験があったり、自己の成長を促すような体験の場合、お伝えすることも多岐にわたります。日本語と英語は異なる言語です。通訳には限界がある、ということを理解してほしいと強く思います。

では、どうすればいいのか。

通訳をお願いする場合は、その通訳と事前に場所や体験について打ち合わせをして議論を深め、伝えたいと思いを共有しておくことが大切だと思います。

そうしておけば、もしガイドさんの解説の中で、海外の人には理解できない部分がある場合、うまくおぎなって通訳したり、質問をガイドさんに投げかけるなどして、より分かりやすい解説にすることができます。

またガイドさん自身でも、お客様の反応を見て「これは理解されていないようだな」と感じたら、臨機応変に解説を補足したり、変えるなどする工夫も大切です。相手の反応を観察して臨機応変に対応していくフレキシブルさがポイントになります。解説の引き出しをたくさん用意しておくことがその準備になります。

そして、やはり自分の言葉で伝える努力、英語の学習を少しづつ初めてもらえればと思います。

もちろん、すぐには話せるようにはなりません。ですが、「ここ滑ります!」「枝が出ています」「しゃがんで!」などとっさに必要で、お客様の安全を守るための英語は身に付けておくべきだと思います。通訳を介していたら間に合わないからです。

そうして、本当に少しずつ伝えられることが増えていけば、いいのではないかと思います。

もちろん、ガイドとしてお客様を安全にリードする、プログラムを体験していただくスキル、経験は必要不可欠ですが、以上の点も加わるとさらに印象深いATガイドになるのかな、と考えています。

長くなりました。最後までお読みいただきありがとうございます!


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